脳卒中後遺症者の歩行自立
歩行が自立する確率
古いデータですが、
Jorgensenらによると,
脳卒中後遺症者の自立歩行獲得は、全体の63%。
Jorgensen HS, et al:Recovery of walking function in stroke patients. Arch Phys Med Rehabil 1995;76:27‒32
このことから、対象者の約40%弱は
歩行が自立不可能か、または歩行に介助を要することになります。
脳卒中のリハビリテーションにおいて、
対象者本人や家族の強い希望の一つに
【歩行能力の自立】
が挙げられると思います。
私は、率直に、歩行自立度60%を、
70 ⇒ 80%
へと改善したいと思っています。
病院で働いている時に、
リハビリに全く意欲を示さない
患者さんや利用者の中でも
「歩く練習」だけは拒まない
という方々を多く経験しました。
それほどまでに
【ご自身の足で立って、歩くこと】
に、大きな希望をもっている証拠だと思います。
私たち、医療従事者は・・・
転倒の危険性や日常の実用性などから
医療者側からの都合で、車椅子の利用が安易に選択されたり、
医師やセラピストの価値観のみで、
装具や補装具の使用・不使用 が
〇〇をする・しない などが
決定されたりすることが許されて良い理由がありません。
私達は、これらの点を十分に理解して
目の前にいる方にとって、
どうすれば可能性を広げられるか?
と、これまでのエビデンスにある装具やロボットトレーニング、
これからは人工知能(AI)や再生医療などを有効に活用できるために、
日々、知識や経験を磨いていくことが重要だと私は考えます。
理学療法士を始めとする医療従事者が、
患者さんの価値や希望を尊重するのであれば
日常生活のなかで単に移動できればよいということではなく、
どうすれば歩けるようになるか?
どうすればもっと効率よく歩けるか?
というシンプルな問いから目を背けず
実用的な視点も含めて
人間性や専門性を発揮する事ができれば
価値を提供できる専門職として選ばれると考えています。
現在、養成校の学生向けに
歩行をテーマに原稿を書いている私が
率直に感じた事を書き記しました。
今後は、具体的な知識や練習のコツなどを
公開していけるように準備します。
最後まで見て頂き、ありがとうございました。
追伸
本人様やセラピストで「不安」や「悩み」がある方は
気軽に問い合わせください。